本日の水俣は、近距離は見事な快晴、遠方は深い白霞みに覆われました。夜明け前は氷点下の厳しい冷え込みとなり、日中も10度に届くか届かないか…でありましたが、強風でなかった事が幸い。極めて幸いでした。では、夜明け前の出港より始まる第4日。いよいよ海上自衛隊掃海部隊の皆様、初の八代海にての『平成25(24)年度 機雷戦訓練』大詰めです。今週末の23日(土)と24日(日)には、掃海母艦「うらが」さん、掃海艦「やえやま」さんの一般公開が鹿児島県の米ノ津港で行われます。
第4日の始まりは…「くろしまバウスラスタスプラッシュ!」。これまでで「最強」のバウスラスターの記録となりました。撮っている際は、「これは賭け。朝っぱらから大博打。当たれば傑作。外せば、ただの失敗作」。第46掃海隊・掃海艇「くろしま」さんの出港は、まだ夜の明け切らぬ頃。と云うより、まだ辺りは暗かった頃です。写真は明るく写っていますが。午前6時半。本日の水俣の日の出時刻は、午前6時55分。バウスラスターが湧き出した音に、内心「うわ…撮れるのか…この暗さで…」。掃海部隊の皆様は「準備出来次第出港」ですので、日の出を待って出てゆかれる訳ではありません。気温は氷点下でしたが、寒さも忘れました。「撮らいでか!」です(でこに四つ角が幾つも出ている状態←新米見学者は、このような状態に追い込むのが良いのです)。
この朝、砂山岸壁にいらしたのは、第46掃海隊・掃海艇「くろしま」さんのみ。米ノ津港には、第41掃海隊・掃海艇「つのしま」さん、「えのしま」さんがいらしたと思います。車の運転が出来ませんので、どうしても両港を往復する事が難しいのです)。掃海部隊の皆様の『機雷戦訓練・掃海特別訓練・潜水訓練』期間中は、日の出前、日の出と共に出港ですので、出港準備は「まだ夜」の頃から始まっています。かなり明るく思えるでしょうが、実際には夜。水俣港は大変良い港ですので、殆ど掃海艦艇さんがたに揺れがありません。その為、明るく撮る事が出来ます。
普通?に撮ると、これほど暗いのです。まだ「夜」です。日の出前は、最も気温が下がる時間帯。沖縄にご所属の第46掃海隊さんにとっては、氷点下は「激寒」です(今の時期でも、20度近くありますので)。
間もなく出港。皆様、各所で、てきぱきとご準備を進められます。本当にてきぱきと。
空が少しずつ少しずつ明るくなり始めます。美しい黎明の時間帯へ入りました。氷点下に冷え込んだ冬夜空が明けてゆきます。
冴え冴えと美しい夜明けでありました。仄かな朝の光に美しい木目の光沢。木造の掃海艇さんならではの美しさ。頭上で、ぶんぶん廻るレーダー。新米見学者には、「シュッコウシュッコウ」と云いながら廻っているように思えています。
湧き上がるバウスラスター。思いっきり出港です。思いっきり。「のんびりなど出てゆかん」とばかりに思いっきり。朝っぱらからの大博打に勝ちましたね。これぞ、バウスラスター!
夜明けの恋路島。その向こうの不知火海に訓練海域が広がっています。これまで、「八代海」と記載していましたが、地元水俣の皆様にお伺いしたところ、「不知火海」と仰るお方が殆どでありましたので、八代海・不知火海の双方にて記載致します。
あっと云う間に、「くろしま」さん、遠くになりにけり。赤浮標・緑浮標の先に訓練海域。昨日より、exciteブログは、画像使用(無断使用・転載回避)に関する制限が設定され、これまでのように拡大表示が出来なくなりましたので、520pixの画像では見えづらいかもしれませんが、「くろしま」さん前方右手に等間隔で浮かぶ赤い光が、おそらく、掃海部隊の皆様の「洋上の星団」であると思います。少し不思議な赤い光なのですが…。「赤い光?」。マストの灯の蜃気楼でしょうか…。不思議な光点として写っていました。「不知火海」と云えば、「不知火」。帰りの君島タクシーさんの運転手さんに「不知火」について教えて戴きました。白い光だと思っていたのですが、「自分はまだ見た事がないけどね、青白い光がゆらゆらと浮かぶそうだよ」「青白い光なのですか?」「そうらしいよ。7月ぐらいに見える」。この朝、新米見学者が見た(撮った)不思議な赤い光の等間隔。勝手に「掃海部隊不知火」と名付けました。それは、この後、次々と起きる不思議な巡り合わせを暗示していたのかもしれません。
速報ですので、一気に快晴の日中です。「くろしま」さんをお見送りした後、一旦、滞在先に戻り再起動。朝の空を見てみると、白くぼんやりとしていましたので、少し様子を見てみる事としました。本日も厳しい冷え込みでしたので、長時間屋外に耐えられるか…と云う事もありました。様子を見つつ支度をし、「みなくるバス」さん第3便で、「白い木の船の丘」へと着いて、「えーと…」と何気なく、水俣港を振り返り、「えッ!?」。驚きました。何故か、朝はいらっしゃらなかった第51掃海隊・掃海艦「はちじょう」さんがいらしたのです。状況が理解出来ず、慌てました。この瞬間、「はちじょう」さんが出港されるのか、入港されるのかも判らなかったのです。reflex500の準備も出来ていません。慌てまくりでした。
「はちじょう」さん、出港でありました。美しい恋路島の岬に「はちじょう」さん。「はちじょう」さんの記録、一気に最高値更新。完璧。大湊の「はちじょう」さん大ファンの皆様へ贈る最高値。次々と掃海部隊の皆様の記録最高値をたたき出す水俣湾。素晴らしい!素晴らしい美しさです。
水俣湾より不知火海へ。近い距離の「はちじょう」さんは極めて明瞭に記録出来ていますが、前方の掃海母艦「うらが」さん地点は、既に霞みがかかり、難しい状況でありました。
約1時間半後、再び「はちじょう」さんが近づいて来られました。「???」。
ご到着です。「???」と思いながら記録していたのですが、背後の材木岸壁も相当気になっていました。緑色の…フォークリフトではなくて…何と云う車輛でしょう。「わっし」と材木を掴んでは、運び続けていたのです。世界最大級の木造艦である掃海艦と材木。実に見事な競演でもありました。
「はちじょう」さんは、極めて明瞭に記録出来ます。着岸されましたので、不知火海訓練海域を望むと…最早、「お手上げ」に近い状態になっていました。艦艇番号が見える見えないと云う状況ではありません。ピントをどこに合わせれば良いのか…頼りのマストもよく見えない状態でした。かろうじて、掃海母艦「うらが」さん右舷にいらした第51掃海隊・掃海艦「やえやま」さんが動かれたのが見えた…です。
目が眩むほど、むちゃくちゃ良く見える「はちじょう」さん。よくよく見ると、岸壁に大勢の方々。この雰囲気は…「取材」ですね。ああ、なるほど!です。判りました(勝手に)。『機雷戦訓練・掃海特別訓練・潜水訓練』期間中、1日は「取材の日」があります。取材陣の皆様をお載せして出港する際に、丁度、新米見学者は「白い木の船の丘」に着いたのですね。そして、取材を終えられ、戻って来られたのでは。後日判るでしょう。むちゃくちゃ良く見える「はちじょう」さんは、再び出港される事はなく、そのまま岸壁にて夜を迎えられます。
して…不知火海訓練海域はと云うと…最早、「完全お手上げ状態」でした。これは凄まじい霞みっぷりです。図太く(無神経に)しぶとい新米見学者も、遂にお手上げです。すがしま型掃海艇さん、ひらしま型掃海艇さん、えのしま型掃海艇さんがいらっしゃるでしょう。ぐらいにまで視程は低下。これは不知火海独特の霞みではありませんね…きっと。越境大気汚染物質。そう云えば、「木曜日ぐらいに日本へ」との報道を耳にした気がします。本日木曜日。これはひどい。「お手上げ」ですが、本日は、ここでスゴスゴ尻尾巻いて帰る事はしません。持ち前?のしぶとさを発動。粘りますよ。本日は。とことん。
辺りが夕陽の色に染まり始める頃…「やえやま」さんが静かに米ノ津港へと向かわれました。24日(日)は、米ノ津港にて掃海艦「やえやま」さんの一般公開が行われます。午前9時より。前日の23日(土)には、やはり米ノ津港にて、掃海母艦「うらが」さんの一般公開が行われます。いずれも午前9時よりです。
すさまじい白霞は薄れる事はなく、お手上げ状態が続きましたが、「みなくるバス」さん終バスを見送っても粘ります。本日は。この美し過ぎる、神々しくさえ思えた黄金の夕陽を、ひたすら待ちました。昨日のような直射す夕陽は望めなくても、この白霞みによって、辺り全体が黄金に光ると信じて。夕陽と掃海艇さんがた。この近さで記録出来たのは、不知火海が初めてとなります。日の出と掃海艦艇さんがたは同じく南九州の「日に向かう國」の宮崎県日南市で記録出来ています。宮崎県が「日に向かう國」と名付けられた事が判りますね。熊本県は美しい夕陽の照る國。
ああ、雲と霞みに阻まれる…美しい夕陽は「雲に日の入り」に…。口惜しい哉。しかし、諦めません。しぶとく粘ります。夕陽は完全に暮れるまで諦めない事です。それは、地元で「ダイヤモンド富士」を記録していた頃の経験から。最後まで諦めない。
これが不知火海的日の入り。長島に暮れてゆく夕陽です。濃い霞に阻まれましたが、一旦は雲に隠れた太陽を見つけました。「すがしま型掃海艇」さんお二方と「ひらしま型掃海艇」さん…もしくは「えのしま型掃海艇」さんの日の入りです。本日の日の入りは18時8分。既に終バスは行ってしまいました。あとは粘れるだけ粘って、君島タクシーさんにお迎えをお願いするのみ。日の入りまで粘ったら、もう「洋上の星団」を記録しないでは帰りません。厳しい寒さとの攻防は覚悟の上。日の入りから完全に夜が訪れるまで、実は結構時間があります。ひたすら約3m四方を歩き廻ります。寒過ぎるので、じっとしていられないのです。
ようやく記録。不知火海に浮かび上がる、「掃海部隊洋上の星団」。例え、霞みが深かろうと、夜になれば見えて来る。洋上の星団が現れると信じて待った約1時間。不知火海に現れた美しい洋上の星団。掃海部隊の皆様の灯です。
実は、なかなか見えて来なかったのです。「…無理か…」と思いかけた頃でした。漆黒の不知火海右手に突如、強い光が現れたのです。「え?」。写真からも光が強かった事が判ります。左手には洋上の宮殿・掃海母艦「うらが」さんが煌めいていらっしゃるのですが、右手の光点の方が強い。はっと目を引く強い光でした。訓練海域、最も右手にいらしたのは、海面警備の第46掃海隊・掃海艇「くろしま」さん(推定)。「撮れる!」と確信した瞬間でもありました。写真では、「うらが」さんは夜の海に煌めく宮殿、王冠のように映りますが、肉眼では殆ど見えていませんでした。
不知火のように青白く。左手に洋上の宮殿・王冠の掃海母艦「うらが」さん。近くに掃海艇さんもいらっしゃいますね。ですが、本当に微かな灯でした。距離的に右手の「くろしま」さん(推定)が近かったとは、あまり思えないのですが、何故、非常に強い光であったのかが、今も不思議です。そして、程なく、その強い光は完全に見えなくなりました。本当に不思議でした。例え、方向転換されても灯は見えるのですが。不思議であったのは、その強い光だけではありません。日中は穏やかな晴天となり、時折、強い風は吹きましたが、前日ほどの強風ではなかった事が幸いでしたが、日の入り後は厳しい冷え込みが始まりました。ところが…「洋上の星団」を記録していた際、完全に無風状態になったのです。全く風は吹いていませんでした。「…風が止んだ…?!」。無風となり、不知火海はまさに鏡のようになったからこそ、洋上の星団が記録出来たのです。もし、強風であれば、カメラも揺れ、長時間の露光に耐えきれません。ブレブレの写真になってしまいます。突如、風が完全に止んだ事に、鳥肌が立つような感覚でした。怖い程でした。神懸かり的な無風でした。不知火海と水俣の街が大きなドームに覆われ護られていたかのように。水俣に到着してから5日。連日夜通し、滞在先の窓は「ひゅうひゅう」と音を立てていました。ずっと強風であったのです。何故、本日の夜の不知火海洋上の星団を記録する際、完全無風であったのかが不思議でなりません。
「それはね…」。夕陽と掃海艇さんを記録した頃、側には、こちらのつぶらな瞳の「お方」とお母さんがいらしたのです。お名前は「せいちゃん」。昨日もお会いしましたが、お話ししたのは、本日夕刻が初めてでした。そして、驚愕しました。「せいちゃん」は、亡くなられたお父さんのお名前が由来であるそうです。お父さんは、海上自衛隊掃海部隊のお方でした。ペルシャ湾掃海派遣部隊として、掃海艇「ゆりしま」さんにて熱砂炎暑の遠い海へ向かわれたお方でした。驚愕と云うより、表現し難い心情でありました。まさか…まさか…でした。「せいちゃん」とお母さんが去ってゆかれた後、完全無風となった事。大きなドームに護られ記録出来た洋上の星団であったと思っています。
こちらは、突如、「デカビタC」。妙ないでたち(防寒の)で立ち尽くし不知火海を撮り続けていた、アヤシい新米見学者(よそ者)に、ずっと黙々と歩き続けていらしたおじさまが「ずっと何も飲んどらんだろ。何か飲まないかん」と持って来て下さったのです。おじさまは、この3日毎日歩いていらしたのですが、ご挨拶したのみでお話しはしていませんでした。「すみません!」とお金を払おうとすると「いらん。いらんから。何か飲まないかん」。おじさまがずっと見ていて下さった事が判り、涙が出ました。アヤシいよそ者に飲み物を持って来て下さったおじさま。心から感謝申し上げます。水俣の皆様は本当に本当に心優しい方々です。何が何でも美しい水俣をwebに再現しなくては。それが新米見学者の御礼と「任務」です。
突如、美味しそうなちゃんぽん。君島タクシーさんにお迎えお願いし、水俣の街へ戻る道すがら、お薦めのお店をお訊きしました。「らーめんが食べたいの?う〜ん。それなら、すぐ近くに酔仙食堂さんがあるよ。夜遅くまでやっているし美味しいよ」。よれよれのボロボロで、酔仙食堂さんに参りました。やはり、「ちゃんぽん」を注文しなくては。身体が冷えきっておりましたので、感涙でした。とても美味しかったです。お母さんがお一人できりもりする名店です。毎日通う事にしました。遅まきながら。お母さんは、極めてアヤシい風体の新米見学者に大変ご親切でありました。普通の会話が何とも嬉しかったです。心から安堵しました。深夜2時まで営業しているそうです。午前11時から午後2時まではお昼の営業。午後2時から午後5時までは休憩。水俣、おふくろの味でもあります。ああ、あたたかい…。
水俣駅前通り(で良いのでしょうか)。近くに大きなパチンコ屋?さんとスーパーホテルさんがあります。スーパーホテルさんの看板は遠くから良く見えますので、目印ですね。斜め前が酔仙食堂さん。
海上自衛隊掃海部隊の皆様の八代海=不知火海での『平成25(24)年度 機雷戦訓練』も大詰めとなりました。今週末は米ノ津港での掃海母艦「うらが」さん、掃海艦「やえやま」さんの一般公開も行われます。晴れの予報が続いています。多くの方々が見学に来られる事でしょう。